第5回 くしゃみ


今年、どうやら花粉症にかかったらしく、顔がかゆかったり鼻がムズムズしたりなかなか不愉快だった。
それにしてもあの時期は、あちらこちらでくしゃみが聞こえるもんだ。
 くしゃみってほんと面白い。遠くでくしゃみが聞こえるとそれだけで笑える。
それも年配の男の人だと最高に楽しい。
「ヘークシッ!!」とか「ヘシッ!!」とか。「ヘッッ!!」というのもある。
静かな住宅地にこだまする。
 以前働いていた会社に、「ニッ!」という人がいた。カトちゃんの「ニッキシン」の「キシン」がないやつ。
初めて聞いた時はどうも尻切れとんぼな気がして、すっきりしなかった。
 さらに、声を出さずにくしゃみをするという強者もいた。なんかさっきからあの人、小刻みにヘッドバッキングしてるが?と思ったらどうやらクシャミらしいのだった。一度頭を振りはじめると最低10回は止まらないのだ。さすがにこの時は、くしゃみとは一体なんぞや?と考えてしまったものだ。すっきりしないにも程がある。
「ビシッ!」という人もいたなあ。「イテテテ…」とこちらが言いたくなるような鋭いクシャミだ。
 また、普段とても穏やかな人が、凄まじくでかい声でクシャミをすることはないだろうか?あれは困る。恐い。何か人間の裏側を見せられたような気になる。
 あと、これ書いて果たして面白いのか、それ以前に通じるのかわからないが、うちの旦那さんがした新しいクシャミを一つ。
「ドッケシャ!」…というものだ。
これは、松島トモコ(ライオンに噛まれた女優さん)のミネラル麦茶のCMに、「 毒消しゃいらんかえ〜」というのがあるのだが、その「ドッケシャ」である(断言)。
このクシャミを聞いた時は、ハッと目が覚めたような、プレーリードッグが立ち上がる時のような、そんな気持ちになったが、それ以後一度も聞いていない。
気のせいだったのだろうか…。

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