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このコーナーでは、ポーランドが生んだユニークな作家(兼画家)ブルーノ・シュルツの作品を紹介してゆきます。私の拙い文章でどれだけシュルツ作品の魅力をお伝えできるかどうかわかりませんが、おつきあいいただければ幸いです。なお、文中の引用はすべて新潮社の「ブルーノ・シュルツ全集」(工藤幸雄訳)からのものです。 |
第2回 シュルツの美術作品
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テレビを見ていて、ブルーノ・シュルツはきっとこんな感じの人物だったんじゃないかな、と思う人がいます。
それは「アリーmyラブ」に出てくる、主人公アリーの同僚弁護士ジョン・ケージです。頭のきれる、敏腕弁護士でありながら、
時に「妙ちきりん」「変人」「小男」と揶揄されるジョン・ケージ。才気あふれる人物でありながら、
たまに劣等感に足元をさらわれるジョン・ケージ。恋愛に不器用なのに結構もてるジョン・ケージ。
シュルツに関する評伝を読んだり、数少ない写真を見て私の頭のなかに結ばれたブルーノ・シュルツ像は、
そんなジョン・ケージをいくぶん病身痩躯にした感じです。特に共通点として挙げたいのはある種の子供っぽさで、
例えばシュルツの小説に出てくる食べ物は子供の好みそうなものばかり(ケーキやパイ、きれいな色のシロップなど)だし、
シュルツの観察眼の細かさは幼児のそれを思わせます。
自分の飼っていた蛙の葬式を職場でやってしまうジョン・ケージといい勝負です。 |