パジャマって素敵だ。
私は寝巻きにはちょっとしたこだわりを持っている。ジャージやスウェットは持ってないし、フリース素材の部屋着も持っていない。買うのはいつも、襟の付いた、前を釦でとめるパジャマ。シルクとかだとなんだかバブリーなので、綿とかのものを愛用している。色は柔らかい中間色に限る。
パジャマが似合う人は、羨ましい。
パジャマが似合う人って、野心があんまりなくって、ちょっと頭が堅くて、でも温和、みたいな人をイメージする。
なので、映画を観ていても、寝巻きの出てくるシーンは結構印象に残っている。ハリウッド映画や香港映画、日本映画には素敵なパジャマのシーンはそれほどないような気がする。一方イギリス映画にはホームウェアの場面が出てくる映画が多いように思う。特に20世紀前半を舞台にした作品は、クラシカルなパジャマ美の世界が堪能できて、楽しい。
独断と偏見に満ちているけれど、私にとってパジャマが似合う俳優ナンバー1は、コリン・ファースだ。
前に紹介した「アパートメント・ゼロ」という映画での、白っぽい無地のパジャマ姿のコリンは、これぞパジャマのお手本といっていいくらい、スタイリッシュだった。彼は痩せすぎず、太りすぎず、手足が長いから無地のパジャマが本当に良く似合う。
この映画はアパートが舞台なので、住人たちの部屋着が人それぞれで面白い。マッチョなゲイ、おねえなゲイ、ファザコンの人妻などなど、皆いかにもな部屋着姿で登場する。部屋着というのは、お出かけ着よりもその人の価値観を表すものかもしれない。
それから、コリンのデビュー作「アナザー・カントリー」はパジャマファン必見の作品。1930年代の全寮制の学校が舞台なので寝巻きのシーンは見応え十分。コリンは寝巻きの上にタータンチェックのガウンを着て夜中にこっそりマルクスの資本論を読んだりしているのだけど、タータンチェックが怖いくらい似合っている。
ちなみに主役のルパート・エヴェレットは部屋着ではしょぼいのに(痩せて、猫背ぎみだから?)、盛装するととたんにゴージャスになるのが不気味だった。
コリンには、これからも美しいパジャマ姿を披露してもらいたい。
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